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2009年05月26日

丸の内パークビルディング竣工!(その一)

アルミ鋳物メーカー、傳來工房の杉村です。

東京の丸の内にまた新名所が誕生しました。
「丸の内パークビルディング」と復元された「三菱一号館」です。


設計は三菱地所設計、
施工は竹中工務店。

「丸の内パークビルディング」は地上34階で事務所、店舗として使用されます。
「三菱一号館」は1894年(明治)に竣工した丸の内最初のオフィスビルを
そっくりそのまま復元されたそうで、美術館として活用されるそうです。

さて、アルミ鋳物メーカーの傳來工房と言えば「三菱一号館」の「復元」という言葉に
敏感に反応してしまうのですが、
今回、我々がお世話になったのは、パークビルディングの方の意匠です。
地上10m程のところにアルミ鋳物面格子を納めました。

まずはデザイン承認を頂き、最初に製作したのがモックアップです。
硬質発泡ウレタンにてパーツ単位に成型をして、

組み合わせて、色を塗り、


東京でモックアップの吊りこみです。


デザインは創建時のエンブレムをモチーフにしたとの事です。
建物の廻りをぐる〜っと巻くように施工をしました。

基準パネルの大きさは幅5200mm、高さが1300mm。
四周枠の大きさは高さ、奥行共50mmとしており、
アルミ鋳物としてはかなり分厚い仕様となっています。
目の前で見てた時には「大きいパネルやなぁ〜」って思ってたんですが、
さすが、10m以上離れた目にはピッタシって感じです。

上下のブラケット及び、ブラケットの化粧カバー、
そして時計盤もアルミ鋳物にて製作。


地下通路への階段部分にも1枚基準品を設置しました。


と、この辺で「その一」を終了して、to be continued… です。
その二にもご期待を!

2009年05月01日

日経新聞「私の履歴書」

意匠アルミ鋳物、アルミキャストメーカーの
傳來工房専務の橋本昇です。

本日5月1日から日経新聞「私の履歴書」に
久しぶりに建築家が約一ヶ月かけ連載される。

その建築家は、磯崎 新(いそざき あらた)。

モダニズム一辺倒の時代から現代美術も建築デザインもファッションも
すべての感性が次の時代を模索していた時、いち早くポストモダンを
提唱する建築家として磯崎さんが登場した。

磯崎さんは、その提唱を建築デザインとして見事に表現された。

われわれ傳來工房は、その磯崎さんが代表されている
磯崎アトリエさんといつくかのアルミ鋳物の仕事をお手伝いしました。

それらは、ポストモダンの中で語られるところの
「伝統的な素材、有機的な仕上げを活用した新しい意匠表現」の部分を
担当したように感じます。

その中のひとつが磯崎さん出身地にある「大分県立図書館」


《全景写真》

《エントランス》


この建築内部のメインは、図書館だけにもちろん大閲覧室です。

ここを「百柱の間」と名付けられ、
その主役となる列柱をアルミ鋳物で傳來工房が鋳造しました。

《百柱の間》

《アルミ鋳物空調ポール》


建築デザインに関係されている方は、ご存知と思うが
19世紀末のオットーワグナーが設計したウィーン市郵便局のエントランス
ベンチレーションポールを彷彿させる。

私自身もウィーンでこれを見に行った事があるが
磯崎さんの空調ポールについて「ものづくり」の立場で少し語ってみたい。

まず、材質はアルミ鋳物で同じだが
ワグナーのそれは当時鏡面仕上げと判断できる。

それに対して磯崎氏の空調ポールは、職人による手作業で
ランダムヘアーライン仕上げをキャストに初めて採用された。

見る角度によって微妙な光沢が反射する。

特筆すべきは、約7t厚のアルミ鋳物本体が一体鋳造で筒型になっている。
これはブロンズ像などに使う中を中空にする大型中子(なかご)の鋳造技術だ。

見かけは現代的な意匠だが本体は彫刻を同じ鋳造方法である。
これほど大きい中子を使う鋳造は、美術鋳造の工房でしか出来ないものだ。

ポール内部の機能は、大きな樹脂製のボールが室温によって上下し、吸気と
排気が上下で機能出来るようにシンプルに設計されているものが組み込まれた。

《余談》

磯崎さんの奥さまは国際的な現代美術彫刻家の宮脇愛子さん。
私は、以前から宮脇さんのかろやかで繊細なワイヤーによる作品の
ファンでもあります。