池坊本部ビル
今週の京都は、素晴らしい秋日和に恵まれ、
紅葉シーズンが待ち遠しい季節になりました。
京都傳來工房副社長の橋本昇です。
前回、草月流の勅使河原宏氏(故人)との仕事を書きましたので
今回も華道に関わる傳來工房の仕事の紹介です。
京都市内の中心地には、今でも歴史あるお寺がたくさん残っています。
烏丸六角通りにある紫雲山頂法寺というお寺もその一つで、
聖徳太子の幼い頃から縁(ゆかり)のあるお寺です。
京都地元では「六角堂(ろっかくどう)」、
「六角さん」の呼び名のほうが馴染みがあります。
六角堂のすぐそばに聖徳太子が沐浴(もくよく)された池跡が
今もありますが、そのそばにあった小野妹子を始祖と伝える僧の住まいを
「池坊(いけのぼう)」と呼ばれていました。
現在の華道池坊の祖先がそこに朝夕、花を供えていたことから
「池坊の生け花」として広がったようです。
さて、京都には素晴らしい現代建築の作品がありますが
私の中でも好きな建築がその六角堂のすぐ横にあります。
『池坊本部ビル』
設計;今里隆(杉山隆建築設計事務所)
竣工:1977
華道では、最も古い歴史のある池坊さんの本部ビルです。
上品なピンクの混ざった御影石の外装は、低層部にかけR面になり
柔らかなファサードが烏丸通りに広がります。
この建築物の南側に烏丸通りからデザインパーティションポール越しに
前述の聖徳太子を祀った太子堂が望めます。
そのデザインポールを傳來工房が製作のお手伝いをいたしました。
材質:アルミ合金鋳物(アルミキャスト)
仕上:槌目模様、ブロンズイブシ風塗装
近づいて見ると、力強い槌目(つちめ)のテクチュアがキャスト(鋳物)らしい。
京都六角堂見学の後は、ぜひ池坊本部ビルも視察ください。