アルミキャスト(アルミ鋳物)によるランドスケープの仕事が
最近多くなってきたと感じる京都の傳來工房副社長の橋本昇です。
京都では桜の季節も終わり、いよいよツツジ開花本番のシーズンになりました。
さて、先日赤坂見附、永田町近くに行く用事があり、
ある巨匠の建築家とご縁のあった傳來工房の仕事をご紹介します。
ご存知、国会議事堂は、皇居側に正面があり裏側から見る機会は少ないと
思いますが中堅若手のほとんどの国会議員は裏側の西門から入堂されます。
その理由は、議員宿舎となる衆議院議員会館、参議院議員会館が
西門側にあるからです。言わば、議員先生方の楽屋側と云えます。
2年前、新しく衆議院第二議員会館、参議院議員会館が建設され
同時に周辺道路のランドスケープ(修景計画)工事が行わました。
私達傳來工房がお手伝いしましたのは、衆参議員会館前の
議員側道路のモール照明(ボラード車止め)です。
材質:アルミ鋳物(アルミキャスト・JIS規格AC3A)
仕上げ:松煙イブシ風仕上げ(ウレタン樹脂複合塗装)
寸法:W770×H885mm (内部:照明付き) 肉厚7t 約61kg
鋳作:傳來工房京都本社
現代彫刻のインスタレーションのように、
ドッシリとした84個のオブジェが連続し並んでいます。
実はこのオブジェは、建築家 岡田新一氏が自らスケッチを書かれた作品です。
ご存知のようにこの地区は、国会議事堂を中心に、司法、行政そして国会と
三権が集約したまさに日本国中枢と云えるゾーン。
岡田氏は、それを三権の丘と称され、ガラス張りになった官邸や議員会館には
重量感あるオブジェが相応しいと樹木の幹や葉を造型する計画を立案された。
この造型には、東京芸術大学鋳金研究室がプロジェクトチームに入られ
粘土原型、石膏原型まで丁寧に作られ、傳來工房に持ち込まれた。
岡田先生がイメージされたように有機的な形をしたボラードは、
皆さん、近くに寄るとなぜか触って行かれます。
触りたくなる質感の良さもアルミ鋳物(アルミキャスト)の魅力かもしれません。
日本建築界の巨匠、岡田新一先生のお手伝いが出来、
大変有り難く、誇りに思っております。
《あとがき》
岡田新一先生は、2014年10月27日鬼籍に入られた。
鹿島建設時代、最高裁判所庁舎のコンペで丹下健三氏を押え、
最優秀賞を受賞され、それを機に、設計事務所を独立。
この作品で日本建築学会賞、建築業協会賞を受賞。
その後、警視庁本部庁舎(桜田門前)など
重厚で風格ある現代建築設計を数多く展開された。
実は、傳來工房は岡田先生の代表作「最高裁判所庁舎」の
《正面上部レリーフ》鋳造製作をお手伝いしており、
先生が独立された時の仕事、そしてお亡くなりになる直前の仕事に
携わることが出来、感謝とご縁を深く感じております。
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こころからご冥福をお祈り申し上げます。 合掌