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2010年08月30日

傳來工房の大理石の仕事

アルミ鋳物、ブロンズによるモニュメント、レリーフなど製作しております
京都の傳來工房専務の橋本昇です。

大阪市内に計画されていた大阪セメント本社建設プロジェクトの設計責任者
(大林組本社設計施工)から、中庭にモニュメントを作りたいから、
手伝ってほしいと連絡が入った。

施主様や建築設計担当者からご要望や条件など色々と打ち合わせ、
最後は「作家選考からモニュメント製作設置まで全て任す。」と
ありがたいお話を頂いた。

その帰り、私はこのアーチストしかないと決めた。

《井田照一  1941〜2006》


写真をご覧になられた通り、井田さんは眼光、面構え
全てが只者ではない雰囲気が漂う。

簡単に言えば、世界を相手に最前線で活躍する現代美術作家とは、
こういう人という感じか・・・

COHJU contemporary artサイト抜粋より
    ↓ ↓ ↓
《略歴と作品》
↑ ↑ ↑

世界中の美術館のパブリックコレクションに注目!


そしてプレゼ承認後、このアーチストと大型モニュメント完成まで約6ヶ月間、
密度の濃い時間をご一緒した。

傳來工房アートワークは、
もちろんアルミ鋳物やブロンズを中心とした鋳造作品であるが、
このプロジェクトでは敢えて大理石によるモニュメントを選択した。

理由は、設置される空間や建築デザインから金属よりも大理石の方が
彫刻作品としてより存在感があると思われたから。

また、施主が取り扱われる材料が太古の大地から生まれる素材
《石灰》であるからなどなど。

そして、その彫刻の素材となる大理石を井田先生と
日本一の石材工場である関ヶ原石材に探しに行った。

広大な屋外の御影石の置き場は、新幹線や名神高速からも見えるが
大理石は屋外では風化するため、屋内のストックヤードに置かれていた。

《関ヶ原石材写真》


 残念ながら大理石ヤードの写真ではありません。

今でもはっきりと記憶しているが、その大理石のストックヤードには
世界中から集められた何千何万年前の何十トンもの化石と言える
大理石の原石が何万トンと並んでおり圧倒された。

園芸用のジョウロで大理石の斑(ふ)を確認しながら選んでいったが
参ったのは、何十トンもある大理石の裏側の斑を見るのに
超大型天井クレーンで反転させなければならない。
その反転費用が一回数万円・・・

石を選ぶのにも費用がかかるのかと思いながらも、なんやかんやで、
井田先生が特に気にいられたポルトガル産のオーロラピンクを15トンと
イタリアカラーラ産の中でも特に綺麗な斑のあるビアンコを60トン、
計75トンの大理石原石をまるで京都の錦市場(にしきいちば)で
今晩のおかずを買うように決めた。

そして、半年の彫刻制作を経て完成した。

《完成写真》

井田照一  《天地往来の塔》   1990  
大理石ビシャン仕上げ  H:5800×W1700×D1400mm


夕刻になると下部の大型ライトが夜空に向かって光を放つ。

積み上げられた大理石の隙間から光が洩れ
あたかも十数トンの大理石が
浮かんでいるように見える。

この巨大な彫刻モニュメントを設置するのに、難題があった。

それは、設置するときに既に建築工事がほぼ終了し、
彫刻作品の搬入口が中庭の上、つまり空からしかなかった。

そこで昔、私が重機械メーカーで勤務していたこともあり、
当時国内最大級の油圧式130トン吊レッカー車を調達し、
ブラインド状態で無線交信しながら大型モニュメントの施工が無事完成した。

竣工時、施主様、設計、現場ご担当者からもお褒めの言葉を頂戴し、
井田先生のおかげで傳來工房のアートワークに大理石による
新しい軌跡が残せたと大変嬉しかったことを思い出します。

《余談》

井田先生のアトリエには、NYのメトロポリタン美術館のキューレーター達をはじめ
海外の現代美術館関係者や国内外の色々な現代美術アーチストが集い、
毎晩のように酒を酌み交わされていた。

私もこの席によく呼ばれ、建築家や銀座の有名な画廊オーナーなどとも
交友も広がり、後に大きな仕事に結びついたことも稀ではなかった。

また、井田先生は美術界でも有名な美食家で色々なところをご一緒した。

今回の彫刻制作時も、郡上の鮎、醒ヶ井の鱒、
岐阜柳ヶ瀬の鯰(なまず)、岐阜米屋町の吉照庵の蕎麦など、
今でもすぐに思い出すくらい美濃周辺の美味しいものをご一緒した。

しかし、井田先生も晩年、長い闘病生活の中、
奇跡的な回復も数回ありましたが
2006年6月残念ながら他界されました。

井田先生は、現代美術、建築デザイン、工芸、料理など
あらゆる分野で私の美学の先生でした。

今回の仕事を書きながら、お元気な井田先生とご一緒した頃を思い出し、
何も恩返しが出来なかったことを大変悔やんでおります。 

合掌

Surface is the Between-表面は間である

《井田照一作 ブロンズキャスト 傳來工房鋳造》


個人邸、マンション向けアルミ鋳物門扉

今回はここ何年かで製作施工をしました
マンション向け、個人邸向けのアルミ鋳物セミオーダー門扉のご紹介を致します。

まずは「格子コレクション」シリーズ
「角格子」、「縦格子」という非常にシンプルなデザインにアルミ鋳物の
重厚感を加えた商品で発売以来、傳來工房のベストセラーとなっています。

マンションや、個人邸等では、そのまま標準品をお使いになる例が多いですが、
一方でセミオーダーとして高さを伸ばされる例もたくさんあります。
アルミ鋳物は切って、繋ぐ熔接が比較的簡単に出来る素材です。

まずは「格子コレクション2」シリーズ。
鍛鉄(ロートアイアン)風のタタキ模様を意匠とした門扉です。


そして、「格子コレクション」シリーズ
桟にシャープな溝が彫られています。


当然にオリジナル門扉も並行して手掛けています。
こちらは個人邸なのですが、高さが3mもあります。
勿論、電気錠仕様となっており、アルミ鋳物内部に通電配線を埋め込み
意匠は崩さないように配慮をした設計となっています。


そして、マンション外構門扉としても。
やはりアルミ鋳物の造形性の良さを発揮しています。

アルミ鋳物製作には「木型」が必要になり、コストが掛かるものではありますが、
持ち型も有り、若干手を加える事によりコストパフォーマンスに優れた
門扉をご提供できる事も有ります。
ご遠慮なく、相談して下さい!!